ことのは

　何年も生きていくと、ことのはの不自由っぷりは目に余るものがありますよね。
　不自由で未完成だからこそ武器なのですよ。
　自由で完成されてしまってはそれはもう一個の『世界』としか言いようが無いのですわ。
　世界未満の世界くずをぶち当てるから気持ちも動くし、たまにゃぁ質量をもって心臓あたりをがつーんとやられたりもするんでしょう。

　言葉が万能だなんて勘違いもはなはだしい。
　言葉は世界になりえない未完成品なんだから重ねれば重ねるほど亀裂だって生まれるときはあろうさ。

　綺麗な言葉を使えとか、正しい日本語を使えだとか、失言を槍玉にあげるだとか、言葉でだれかが動かせるだとか、思い上がりだよ。
　言葉に頼りすぎて世界をなくしてしまっては、もったいないのさ。

　だいたい、こんなまじめぶった文章を投げているわたくしめだって、そんなご大層な脳みそじゃなくて、可愛い女の子とどうにかなんねぇかなぁとか考えたりしてんだ。
　結局言葉じゃ世界は伝わらないし、言葉じゃぼくはわかられない。
　
　まぁだからこそこんなまがった言葉ばっかり投げて煙に巻きたいんだろう。
　っつーか言葉の力に酔っ払っちゃってるんだよね。

　ロジウラあたりに棲ンデイルまんぼうですが、まんぼうはぼくの中に居る一人に過ぎないかもしれないし、ぼくがまんぼうの中の一人に過ぎないのかもしれない。
　わかんないことをわかんないように言うことが崇高だなんて思ってませんがぼくにはコレしかないので変えようも無いのです。
　そもそも、ぼくが何をのたまったところでまぁ変わりなく時計は秒針を刻むし、腹も減るし、自慰にふけりたくなる日もあるのでしょう。
　布団は干さないとほこりっぽくなるし、冷蔵庫の中身だって寂しくもなるんです。
　また明日おきてもぼくがぼくでありますようになんてかっこうつけて言って見たくなった。
　しかし、一向に眠くならないもんだからコマッタコマッタですよね。
　今日できることは明日もできるよ。
　きっとできるよ。
　きっとそうだよ。